菊間潤吾『新モンゴル紀行: ザナバザルの造りし美仏のもとへ』

ザナバザル。モンゴル仏教史上最も重要な僧侶の一人で、いわゆるモンゴル人として初めて転生活仏=ダライ・ラマのような存在と認められた人です(モンゴルはチベット仏教)。「草原のダ・ヴィンチ」とも呼ばれるほど芸術の才能にも溢れており、素晴らしい仏像をいくつも自ら造って遺しました。

私がご案内したお客様のなかにも「あんなに美しい仏像は人生で初めて見た」とおっしゃる方がたくさんいらっしゃいましたし、私自身も、本当になまめかしくて目をそらすことのできない、まるで生きているような仏像達だという印象を持っています。

この本は、ザナバザルや彼制作の仏像の紹介を中心としていますが、モンゴル史関係の観光地の案内書としても機能しています。モンゴルにいた時に某有名ガイドブックの校訂に協力したことがありますが、それと比べるときちんと取材したことのわかる良い記述で感心しました。私のいたハラホリン(カラコルム)についても掲載されています。チンギス・ハンゆかりの土地ですが、ザナバザルとも縁があります。

この取材の通訳を務められたオトゴンさんは日本の大学で文化財修復を勉強された方で、知り合いです。また、著者の菊間氏が経営するワールド航空さん主催のツアーは、ハラホリンの博物館で2度ご案内し、参加者はみなさん大変熱心に説明を聞いて下さいました。その時に現地ガイドを務められていたバットスフさんとは今でも友達です。

そんなこともあってなんだかとても郷愁を呼び起こされる本でしたが、今ふと奥付を見ると、出版日が私の誕生日と同じでした。

勝手に縁を感じていますが、モンゴルの文化財や歴史を知るにはうってつけの導入書と思いますので、ご興味のある方はぜひお手にとっていただければ幸いです。また、モンゴルへ渡航予定のある方はぜひ、このモンゴルの至宝が見られる美術館や寺院にもお出掛け下さいね。

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