いつかの旅:マヌココ山の案内人

ある夏、私は東ティモールにいた。首都ディリ在住の友人に勧められ、何泊か離島のアタウロ島に行ってみることにした。港で待っていたのは、荷馬車を改装したような車。これに乗り、宿まで一本道。静かな静かな宿に着いた。

宿を出て、左に行けば海、右に行けば山。マヌココ山に登ってみようと思った。地図があったわけではないけど、ほぼ一本道、迷うことはないだろう。

途中、分かれ道があった。看板はない。迷う。近くの家の人に尋ねてみる。あっち。ありがとう。

言われた方向に歩いていると、後ろから追いかけてくる人がいた。さっきの家の女の子だ。途中にマリアがいる。お祈りするから一緒に行く。

テトゥン語はわからない。なんとなくのポルトガル語で会話する。しばらく歩くと、山の中腹に深く削られた箇所があった。佇むマリア像。明るい飾りで彩られている。東ティモールはカトリックの国だ。インドネシアからの独立を果たした最大の理由。クリスティーナは熱心に祈る。8月頭、日差しは強いが、窪みが作る陰は涼しい。

お祈りが終わったから、私はこれで帰るね。山の上はこのまままっすぐ。私の家にも遊びに来てね。

ありがとう。山から降りたらお邪魔するね。またあとでね。

そして私は、海を見るために山頂へ向かって歩き出した。

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